採尿方法

動物病院でよくやる検査の一つに尿検査があります。尿検査は身体の現在の状態を直接反映する重要な検査で、正しく行えば診断の手がかりになる検査です。尿検査を行うには、尿を採取しなければいけません。尿の採取方法には、自然排尿、カテーテル、膀胱穿刺、圧迫排尿などが挙げられます。この中で、最も正確な検査結果が得られるのが膀胱穿刺です。膀胱穿刺とは、注射器で膀胱から直接尿を抜く方法です。

たとえば、細菌性膀胱炎の診断をするのに、膀胱穿刺以外の採尿方法では診断が誤ってしまう場合があります。自然排尿やカテーテルで採尿した尿には、尿道や環境中の細菌が混入するため、培養ではそれらの細菌が検出されてしまいます。当院では、尿検査を行う場合は、基本的に膀胱穿刺で採尿を行います。

ただし、膀胱の腫瘍を疑う例では、膀胱穿刺は行いません。刺した傷口に沿って腫瘍が播種されることがあるため、その場合はカテーテルで採尿します。

膀胱穿刺は、カテーテルよりも苦痛が少ないと言われています。動物への負担もほとんどありません。

自宅で採尿した尿を検査することは、細菌や異物の混入、採尿後の時間経過などが問題となり、正しい結果を得ることは難しいと思います。

圧迫排尿については、腎臓への尿の逆流が起こることが分かっているため、行わない方が良いと考えられます。特に、細菌性膀胱炎の症例で行えば、細菌入りの尿を腎臓に押し込む形になるため、避けるべきだと思います。

採尿方法ひとつでも、検査結果は全く変わってしまうため、目的を持って行うことが重要です。

Staphylococcus pseudointermediusによる細菌尿

今週末10月7日(日)は「とんぶり市」に参加します!

当院は今週末の10月7日(日)、「とんぶり市」
http://burikura.com/
に参加します。

とんぶり市とは、「ペット飼育(特に両生類・爬虫類)という素晴らしい趣味を将来にわたって続けるために、飼育個体の繁殖を勧め、これを普及させることを目的とされ開催される国内繁殖個体の展示即売会です。

  • 野生環境でのペットトレード目的の乱獲抑制
  • 趣味として高次元の愉しみへの脱皮
  • 国内繁殖個体(CB)の価値を認め、広める
  • 最新飼育技術の公開
  • ブリーダーの支援・育成

といった概念に賛同し、当院としても参加することにしました。見て周るだけでも面白いので、興味がある方はのぞいてみてはいかがでしょうか。

クサガメを陸で飼う?

当院に来院されるカメさんの中でよくあるのが「水に入れずにミズガメを飼っています」という事例です。

ここでいうミズガメとは、イシガメやクサガメ、ミシシッピアカミミガメの類とします。

部屋の中を自由に歩いて、夜は一緒に寝て、時にはポケットでいろんなところに行く生活。

なかなか楽しそうですが、ミズガメ本来の生活とはかなりかけ離れた飼い方といわざるを得ません。

こういった場合、体に対して甲羅が相対的に小さく、しわしわになっていたり、腹側の甲羅がツルツルになっていたりするので見るとすぐにわかります。

またウサギと同様、こういった飼い方をしていると足の裏に穴が開いて潰瘍化することがあります。

本来一日のうち多くの時間を水にプカプカ浮かんですごすため、足に体重がほとんどかからないわけですが、陸上飼育や水深ヒタヒタ飼育だと自分の体重を足裏が支えきれないわけです。

↑磨り減った足底。ひどくなると潰瘍化する

一般的に、ミズガメを飼うには甲羅の2-3倍程度の水深が必要です。甲羅の上のほうが常に乾いていると甲羅の成長が阻害されてシワシワになってしまうし、ヒタヒタの浅い水深だとひっくり返ったときに自重がもろにかかり起き上がれず、最悪溺死してしまうことがあります。水深があれば浮力で起き上がるのが容易になるわけです。

ミズガメはそれなりの水深のある広い水場、甲羅干しができる陸場、UV灯とバスキングランプは最低限そろえてあげたいものです。爬虫類飼育において、飼育環境というのはそれがすべてといって良いほど大事です。幸い今はいろんな良い飼育書が出版されているし、インターネット上にも飼い方の例があふれているので、そのあたりをよく読んで参考にしていただければ良いと思います。

実際のところクサガメなどは恐ろしく頑丈なカメで、陸上飼育でも10年20年生きたりします。でもやっぱり本来あるべき環境を再現してあげるほうが健康的だと言えるでしょう。

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レッグ・ペルテス(虚血性大腿骨頭壊死症)

レッグ・ぺルテスとは、成長期の小型犬に多くみられる、股関節の大腿骨頭が壊死してしまう病気です。はっきりとした原因は不明ですが、血管の圧迫により血流が阻害されてしまうことなどが考えられています。この病気は遺伝性と考えられており、罹患犬は繁殖を避けた方が良いと思われます。

罹患率に性差はなく、両側性の発症は12%と16.5%との報告があります。トイ種やテリアでの発症が多く、5~8カ月齢での発症が最も多いです。

初期症状は、刺激に対する過敏反応ですが、進行性に跛行を示し、最終的には筋肉が重度に萎縮し、負重しなくなります。

診断には、X線検査により、大腿骨頭および骨頚部の変形やX線透過性の亢進を確認する必要があります。また、トイ種で好発する膝蓋骨脱臼や骨折などとの鑑別のためにもX線検査が有用です。

大腿骨頭のX線不透過性亢進像、骨頚部の変形本症例は、膝蓋骨内方脱臼も伴っています。

治療法は、基本的に外科手術です。大腿骨頭切除という方法がとられます。この方法は、壊死した骨頭部分を骨頚部ごと取ってしまうことにより、痛みをなくす手術です。大腿骨頭切除は、内科的な鎮痛と安静による保存的処置よりも結果が良好です。適切な外科手術により、ほぼ100%の患者が痛みがなくなり、歩行可能です。ただし、術後は半年程度のリハビリが必要になることが多いです。筋肉の委縮が重度の例では、若干の跛行が残る場合もあります。レッグ・ぺルテスを診断された場合は、筋肉が委縮する前に早期に外科手術を行った方が回復も早いです。

変形した大腿骨頭

もし、歩き方に異常があったり、腰を触ると嫌がったりする場合は、レッグ・ぺルテスの可能性がありますので早期の診断をオススメします。

ウサギの肢端皮膚炎(飛節潰瘍、ソアホック)について

当院にはウサギもよく来院されますが、ウサギには罹りやすい病気がいくつかあります。前述の子宮疾患もそうですし、毛球症、鼻気管炎(スナッフル)、歯牙疾患、流涙症、中耳や脳の疾患からくる斜頚、そして肢端皮膚炎などです。今回は肢端皮膚炎についてです。

肢端皮膚炎は、踵から指先にかけての足底部の接地面面に皮膚炎、ひどくなると潰瘍や大きな膿瘍ができてしまう病気です。

↑足底部が膿んで潰瘍化し盛り上がっている

原因としては、環境面が問題となることがほとんどです。床が金属メッシュであったり硬かった場合、ウサギは肉球がなく皮膚がとても薄いため物理的に障害を受けてしまいます。また老齢になり床ずれのようになることでなる場合や、糞尿で不衛生な環境だった場合も感染等を起こしやすくなります。

症状としては後肢を挙げながら痛そうに歩いたり、痛みからあまり運動しなくなったり食欲がおちたりすることが多いです。軽度であれば飼育環境の改善と、抗生剤の投与で比較的簡単に治ることが多いですが、重症例では物理的ダメージを受けたところに二次的に細菌感染がおき、骨髄炎にまで波及する場合があります。そうなると非常に治りにくい厄介な病気であるといえるでしょう。

予防としては床が金網の場合は穴あきのプラスチックに換えて、一部にやわらかい牧草をふんわりと敷いてあげることです。トイレを覚えさせて、毎日トイレを交換してあげることも衛生的に保つ意味で予防につながります。

もしおうちにウサギさんがいるなら、足の裏がカサブタになったりお肉がでてきたりしてないか、たまーにチェックしてあげてください。

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腫瘍

動物は、高齢になってくると腫瘍の発生率が高くなります。それは、ヒト、犬、猫に限らず、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類全般にあてはまります。無脊椎動物においても、ミミズやゴキブリなどで腫瘍の発生が報告されています。

動物の体にできものがあったとしても、すべてが腫瘍とは限りません。炎症、膿瘍、過形成などの腫瘍以外のできもののこともあるからです。また、腫瘍にも大きく分けて良性と悪性という区別があります。

できものを診断するに当たっては、細胞または組織を検査する必要があります。見た目や大きさ、増大傾向などから判断を行うことは危険です。

通常は、まず細胞診をおこないます。細胞診は注射針で針先程の細胞を採り、染色して細胞の形態をみる検査です。細胞診では、そのできものが腫瘍なのかどうかある程度の目安が得られます。また、ハイグレードのリンパ腫、肥満細胞腫、悪性黒色腫などは細胞診でも診断できることがあります。細胞診でうまく細胞が採取できないときや、判断がつきにくいとき、腫瘍が疑われるときは、より詳細な診断のために、組織検査を行います。組織検査は、True-cut生検、パンチ生検、切除生検などの方法で、少量の組織を採取し、病理組織学的検査を行う検査です。組織検査により、腫瘍の種類、悪性度などが決定されます。

メラノーマ(悪性黒色腫)

細胞診や組織検査で腫瘍が確定された場合、次のステップとして全身状態の評価とリンパ節転移、遠隔転移の評価を行います。そのため、血液検査、X線検査、超音波検査、尿検査、凝固系検査、各種内分泌検査などを行います。

腫瘍の治療法は様々な方法がありますが、多くの腫瘍では、外科手術、放射線治療、化学療法が治療の柱となります。悪性腫瘍の場合には、外科手術を行う場合に、できものだけを取ることは再発を招きやすいため、可能であれば広範囲切除を行います。できるだけ広く深く取るとともに、腫瘍細胞を散布しないようにエンブロック切除を心がけます。エンブロック切除とは、腫瘍本体にメスをいれずに周りの組織ごと切除を行う方法です。細胞診などの生検で使用した経路もすべて含めて切除します。この方法により、術創への腫瘍細胞の散布を最小限にすることができます。広範囲切除後は、皮膚が寄らない場合もありますが、その場合は皮弁を作って転移するか、メッシュを形成します。

生検部位を含めた広範囲切除

術後は、適切な放射線治療や化学療法を行うと再発・転移を抑制できることがあります。

放射線治療は、大学や一部の専門病院にしか設備がありません。そのため、当院では希望があれば紹介するかたちをとっています。

化学療法は、抗がん剤を使用する治療法です。通常、固形腫瘍には化学療法の効果が薄いため、手術後の補助療法として使用します。リンパ腫や肥満細胞腫などの腫瘍では、化学療法の効果が高いため、治療の主体となることもあります。

抗がん剤というとイメージが悪いですが、重度な副作用がでないようしっかりとモニターしながら治療を行うと、動物の生活の質が良い状態で保てることも多いため、適応症例には積極的に行っています。

悪性腫瘍に対しては、様々な治療法を組み合わせて行う集学的治療が必要です。治療計画を綿密に立てて治療をしなければ、悪性腫瘍を抑制することは非常に困難です。

種の同定はなかなか難しい。

当院にはカメの患者さんがよくいらっしゃいますが、ときたま「のらがめ・野生ガメ」を保護し、そのまま何年も飼育されている方がいます。

そういう時はたいてい「クサガメ」か「ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)」なのですが、まれにそうでない患者さんがいます。

このラインの色。アカミミがないこの模様。

なにかミシシッピアカミミガメではない気がするが、アカミミが無いアカミミガメも存在するので非常に迷います。

面構えもなにかミシシッピアカミミガメとは違う気がする・・。
甲長は20センチちょっと。
腹甲の模様は無し。

あれこれ議論した結果、「フロリダアカハラガメ」であると結論付けました。この種やミシシッピアカミミガメの仲間は「スライダー」や「クーター」などと大別されるヌマガメです。この仲間は色彩の変異に富み、見た目に種が非常にわかりにくいのです。もしかしたらこの同定も間違っているかもしれません。違うよ!ぜんぜん違うよ!という方がいれば突っ込みいただければ幸いです。

普段池で目にするカメの中にも、こういう変り種が混じっているかもしれません。そういう視点で池のほとりを散歩してみるのもいいかもしれませんね。

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落下事故にはご用心

落下を主訴に来院されたカエルさんです。べルツノガエルという南米のカエルで、ペットとしてはとても一般的なカエルです。

とっても可愛いらしいが、なんだか姿勢がおかしい・・・
何かおかしい・・・
・・・! 左肘がスポーンと脱臼!
10gちょっとしかないカエルさんですが、麻酔をかけて。
極小の手術になりましたが、なんとか整復。

わたしも柔道をやっていた頃に左肘を脱臼し、非常に痛かった思い出がありこのカエルさんには並々ならぬ親近感が湧いています。脱臼というのは関節を包んでいる靭帯が伸び、関節の袋が破れて破壊された状態なのである意味骨折より痛いのです(経験上の話)。

机の高さでも小さな動物たちにとってはビルも同然。水かえや床がえの際は十分に気をつけてあげましょう。

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たまには

ブログを見る限り、当院はまるでエキゾチックアニマル専門病院のようですが、
ワンちゃんネコちゃんもちゃんと診ています。

予約制をとらせていただいているため、じっくりと患者さんと向き合えて、
飼い主様への説明にも時間がたっぷりとれるのが当院の特徴の一つだと思います。
予約制をとっているのは、

①患者さんの待ち時間がなるべく無いように
②相性の悪い動物種(たとえば大きなヘビとインコなど)がかち合わないように
③検査や説明の時間がしっかりとれるように

したいからです。
当日でも空いてる時はけっこう空いていますので、まずは一本お電話いただけると幸いです。


珍しく待合いにワンちゃんが溢れていたので、一枚撮らせていただきました。
おお、なんか豪邸のリビングみたいだ。

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