草食 小動物 食欲不振 それなりに一大事
獣医師の屶網です。
季節外れの台風も過ぎ去り、ようやく夏開幕といった感じですね。
当院では様々な動物を診療していますが、今回は草食獣のことについてです。
ウサギ、デグー、チンチラ、モルモットなどの草食小動物が来院される際は、
「食欲がない」という主訴が非常に多いです。
この単なる「食欲がない」は実はとても厄介で、草食動物の場合命にかかわることが多々あります。
草食動物は本来大量の草を食べてひたすら消化し、ひたすら便をするものです。
これが止まってしまうと、2-3日で生命の危機に瀕し、運が悪ければ数時間で亡くなってしまいます。
原因は多岐にわたり、なんの原因でも
何かの病因→消化管がストップ→食欲不振→消化管ガスが貯留→ますます消化管がストップ→ショック状態→死亡
というパターンに陥りがちです。
最初のきっかけは子宮の腫瘍であったり、前歯臼歯の過長であったり、腎不全であったりすることが多いです。
その中で最もよく見られるのが歯の問題です。
この子はデグーです。
食欲がなく、便も小さく、体重も40%近く減少していました。
食べる意欲はあるけれど、口までもっていっても食べ物をおとしてしまいます。
レントゲンでみると、一番奥の臼歯が長くなりすぎて口がうまく閉められなくなっているようです。
臼歯を削る際は基本的に麻酔が必要です。
状態の悪い子にいきなり麻酔をかけると、そのまま麻酔から覚めないことがあります。
そのため数日の間、点滴、内服薬、強制給餌で状態を上げてから麻酔処置に入ります。
例えるなら、ドラクエでHPがほとんどないのに毒の治療をしても結局死んでしまうのと似ています。
まずHPを回復してから、状態異常の治療です。
軽めに寝てもらって・・
口の中を見ると上顎臼歯の一本が杭のように突き刺さっています。
これはかなり痛いし食べにくいはずです。
歯に負担をかけないように、少しずつ電動ヤスリで削ると、咬合面がまっすぐになりました。
こうしてあげることで正常に食べることができるようになりました。
草食の小動物の治療は、異常を早期発見できるかにかかっています。
①便の形、量
②餌の減り具合
③体重(2-3日ごとに測って記録しておくとよい)
④水の減り具合
こういった点を毎日見る癖をつけておいてください。
異常があれば手遅れになる前に、即ご相談ください。
“草食 小動物 食欲不振 それなりに一大事”へ2件のコメント
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うちの子の症状を探していてブログにたどり着きました。
デグーなんですが、最近急に食欲が落ちて…不正咬合かな?と思って口の中を見たら、上の前歯の裏に食べたご飯かな、と思われる白いものが詰まっていて、口の中が空っぽではない状態でした…炎症なのか、食べカスが固まってしまったのか。
口の周りもカサブタのようになっていて。
本人も口の周りを頻りにこすっていました。
いつもより元気もない気がして心配です(>_<)
>さくらさん
コメントありがとうございます。
そもそもデグーの食欲が急に落ちるのはかなり異常事態です。
歯の問題かどうかは見てみないと分かりませんが、口の周りのカサブタはヨダレで固まっている可能性もあります。
また全く別の問題で食欲不振になっている場合もありますので、早めの受診をお勧めいたします。