犬や猫も熱中症になるの?:基礎知識と危険性
こんにちは!ヴァンケット動物病院三宿動物医療センター 副院長の須藤です。
5月に入り一気に暑い日が増えてきましたね。真夏におこると思われがちな熱中症ですが、実は気温が上がってくる初夏から熱中症の危険はあります。
まだそこまで暑くないからと油断して、エアコンをつけていなかった室内で熱中症になってしまうことも!
熱中症のことを正しく知って、大切な愛犬愛猫を守っていただけるようこれから3回に分けて熱中症についてお話しします。
熱中症とは何か?
熱中症とは、高温環境にさらされた際に体温調節がうまくいかなくなり、体温が急激に上昇する状態を言います。犬や猫では、人間と異なり汗をかく機能が限られているため、主にハアハアと息をすることで体温を調節します。しかし、この冷却方法では限界があり、特に湿度が高い日には効率が落ちてしまいます。
犬猫に見られる熱中症の症状には以下のようなものがあります:
- ハアハアハアと口を開けて息をする(パンティング)
- よだれ
- ぐったりする
- 嘔吐や下痢
- 動かなくなる、または意識がもうろうとする
- 痙攣
これらのサインは熱中症の可能性を示しています。早期に気づき、適切な対応をすることが重要です。
熱中症の危険性
犬と猫における熱中症は非常に危険で、放置すると死に至ることもあります。ある報告によると熱中症の致死率は50%とも言われており、致死率の高い病気です。
熱中症は、一度重症化すると多臓器不全を引き起こす可能性があり、回復しても後遺症が残ることがあります。特に、若齢や老齢の子、基礎疾患を持つ子はリスクが高まります。
特に注意が必要な犬種と猫種
犬種のリスクファクター
犬において、特に熱中症に注意が必要なのは、鼻ぺちゃ犬種(短頭種)です。これらの犬種は、鼻や気道の構造上、効率的に熱を放散することが難しいため、高温多湿の環境に弱いとされています。
代表的な短頭種には以下のようなものがあります:
- フレンチブルドッグ
- ブルドッグ
- パグ
- シーズー
- ボストンテリア
- ペキニーズ
これらの犬種は、涼しい環境を維持すること、適切な水分補給、そして過度な運動を避けることが特に重要です。
猫種のリスクファクター
猫は一般的に犬よりも熱中症になりにくいですが、肥満や持病を持つ猫、または特定の品種はリスクが高まります。
リスクが考えられる猫種は以下の通りです:
- ペルシャ猫
- エキゾチックショートヘア
- ヒマラヤン
これらの猫種も短頭種であり、熱中症になりやすい特性を持っています。猫種にかかわらず、高齢の猫や健康問題を持つ猫も熱中症のリスクが高くなります。
熱中症予防のためにできること
最も効果的な予防策は、適切な環境を整えることです。以下に具体的な方法を挙げます:
- 室内環境の調整
- 室温は常に24度から28度を保ち、湿度は50%以下に保つようにしましょう。
- 直射日光が窓から入る場所にペットの避難場所を設けないようにします。
- 水分補給
- 新鮮な水をいつでも飲めるようにしておき、水をこまめに交換してください。
- 適切な運動管理
- 暑い時期は、早朝や夕方など気温が低い時間帯に運動させるようにしましょう。
- 散歩の際には、日陰を選び、こまめに休憩を取ることが重要です。
まとめ
熱中症は致死率の高い疾患ではありますが、環境を整えてあげることで予防が可能です。次回は、さらに細かい熱中症対策についてお伝えしますので、ぜひそちらもお読みください。
熱中症は緊急性の高い疾患です。もし、熱中症かも!と思ったら、すぐに当院までお電話ください。