変形性関節症について
こんにちは。獣医師の成瀬です。
先日、変形性関節症とその治療に関するセミナーを受講しました。
変形性関節症とは、不可逆的に関節の構造が変化してしまうことで痛みや運動機能障害を引き起こし、QOL(生活の質)が低下してしまいます。
不可逆的な進行性の疾患のため、治ったり進行が止まったりすることはありません。
発症の原因は多岐にわたり、加齢や肥満、関節疾患に続発して二次的に発症すると考えられています。
ある論文によれば、10歳以上のわんちゃんの45%、14歳以上のねこちゃんの82%が変形性関節症を罹患しているというデータがあり、痛みや運動障害などの症状がある子もいれば、目立った症状を出さない子もいます。
症状として、わんちゃんが散歩に行きたがらなくなった、ねこちゃんがジャンプをためらうようになった、などの行動変化が認められることが多い一方、加齢によるものと考えれられ、見落とされている場合もあります。
そのため、診断にはX線画像での評価だけでなく、ご家庭での行動の観察等もとても重要になってきます。
症状が進行した場合、歩く時に手足をかばう行動が見られ、普段の歩き方よりも頭の上下運動が大きくなったり、腰がふらついてくるなどの症状が見られます。
治療に関しては、残念ながら根治させる治療法などはありません。
しかし、生活習慣の改善やお薬などで痛みとうまく付き合っていくことで、QOLを低下させることなく生活を送ることも可能です。
例えば、発症する大きな要因の一つに、肥満があげられます。
適切なダイエットで減量することができれば、症状の程度が緩和したり、進行を遅らせることができるかもしれません。
また、食事管理やサプリメント、運動習慣の改善も重要な治療法とされているため、診断から治療まで、ご家族の治療へのご協力が必要不可欠な疾患となっています。
医療の進歩でわんちゃんやねこちゃんの寿命も延びてきました。
わんちゃんやねこちゃんが老後を快適に過ごすためには、ご家族の皆様が普段の行動をよく観察することが重要です。
その中で、もし愛犬や愛猫の行動に違和感を感じたら、お気軽にご相談ください。
