なんとかなった一例

当院は爬虫類の診療を積極的に行っています。
爬虫類の獣医学というのはまだ分からないことが多く、特に日本は諸外国に比べて研究が遅れています。
とはいっても外国の文献を見ても記載がないことも多く、イヌネコやヒトのデータを参考にして試行錯誤することがほとんどです。

爬虫類は亡くなるぎりぎりまで症状を隠すことに加え、まだ爬虫類を病院に連れていくという文化が根付いていないせいか
来院時にはすでにかなり病状が進行して手遅れになっているケースに良くぶち当たります。

今回は珍しく個別の症例のご紹介です。

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このホップちゃんは縁日でゲットされてきた小さなカメさんで、なんとなく食欲がないという主訴で来院されました。
全身の皮膚に白い膿瘍が出てきています。

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さらにレントゲン上右の肺が真っ白で、激しい肺炎を起こしていることが想定されました。
ぶっちゃけてしまえば、食欲がなく重度の肺炎になっているオレオサイズの子ガメというのはほとんど治療しても亡くなってしまいます。
皮膚の膿瘍も出ているということは、全身的に何か免疫抑制がかかった状態であるということを示唆しています。
内心頭を抱えましたがわずかな可能性に賭けて、やるべきことをやるだけです。

自宅での管理は無理と判断したので酸素つき温室で入院し、毎日点滴と薬の注射、強制給餌をしました。

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入院2週間ちょっとにしてやっと自力でカメの餌を食べられるまで回復しました。

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↑肺もこの通り綺麗に。
このホップちゃんのように飼い主さんが異常をいち早く捉えられれば、助けられるケースもあります。

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↑こんな素敵なバルーンをいただきました。
コモドオオトカゲとそのおこぼれをつつきに来た鳥さんが実にかわいらしく素晴らしい。
飾らせていただきます、ありがとうございます。(http://ballmaru.exblog.jp/)←バルーン屋さんをされているそうです

カメのように多産多死の生存戦略をとっている動物は、卵からかえった全てが健康に大人になるわけではなく、
どうしてもある一定数は途中で脱落してしまうものです。
そのため購入する際にその見極めがとても大事になるのですが、弱い子だからと言ってあきらめてしまうのは早計です。
命というのは非常にもろい時もありますが、時としてわれわれの想像をはるかに超えて強靭であることに度々驚かされます。
小さな命の最後の受け皿になれたら、獣医師としてこんなにうれしいことはありません。
今回のケースのようなこともあるので、まず一度ご相談ください。

 

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