よくある質問

今年度も、もう一ヶ月です。当院も新人の動物看護師も増えたし、賑やかになってきました。

開業3年目になって、少し忙しくなってきましたが、なんとか時間を確保して勉強しています。

よく患者さんに聞かれることで、昔と変わってきてることをいくつが書いてみます。

× 急性膵炎では絶食をした方が良い。

⚪︎ 急性膵炎ではできるだけ早期に食事をさせた方が良い。

急性膵炎では、吐き気がひどくなければなるべく早期に食事をはじめるべきです。長期の絶食は腸絨毛の萎縮を招き、細菌のトランスロケーションを誘発するため、予後を悪化させます。

? 避妊手術により、乳腺腫瘍が予防できる。

避妊手術と乳腺腫瘍発生には因果関係がないという論文が出ています。予防できるというデータもでているため、現時点ではどちらなのか不明です。子宮疾患等も予防できるため、避妊手術はするメリットが大きいとは思います。

× 僧帽弁閉鎖不全症で心雑音があったり、逆流があればすぐにピモベンダンやフロセミドを開始する。

⚪︎ 僧帽弁閉鎖不全症により、心臓の拡大がみられたらまずACE阻害剤を開始する。

僧帽弁閉鎖不全症では、逆流や心雑音があっても、心拡大がみられなければ、定期的な経過観察のみでも良いと思います。早期治療開始によるメリットは現時点では証明されていません。

また、ピモベンダンは肺水腫等が起こるステージから開始する薬剤であり、早期からの使用はむしろ弁膜症を悪化させる可能性もあります。フロセミドのようなループ利尿薬は、肺水腫があるときには使用はしますが、常用はなるべく避けたい薬です。僧帽弁閉鎖不全症の治療でファーストチョイスはACE阻害剤です。当院ではベナゼプリルを使うことが多いです。ベナゼプリルは肝臓と腎臓で排泄されるため、腎不全でも比較的安全に使用できます。ACE阻害剤の種類による効果の違いはそんなにないといわれています。

× 肺水腫のときは水を制限して脱水させる。

⚪︎ 肺水腫のときは、利尿薬を使いながら、飲水は自由にできるようにする。

肺水腫のときは、ループ利尿薬を使いますが、水は必ず飲めるようにします。過度の脱水は、腎機能を悪化させます。また、脱水は動物の生活の質を著しく下げます。

× 白内障は、点眼薬で治ります。

⚪︎ 白内障を治せる点眼薬は現時点では存在しません。

白内障の治療薬は複数種類が販売されていますが、白濁した水晶体を透明に戻せる薬は存在しません。白内障の進行を抑制するとされている点眼薬も、効果は疑問視されることが多いです。やらないよりはましくらいに考えた方が良いかもしれません。白内障から二次的におこるぶどう膜炎や緑内障には、点眼薬等での治療が必要です。

白内障を治療する場合、外科手術が必要です。白内障の手術は、当院では行なっておりませんので、眼科の二次診療病院にご紹介します。手術適応かどうかの判断には、網膜等の精査が必要です。

獣医学はどんどん進むので、一昔前のスタンダードな治療が全く否定される場合もあります。おいて行かれないように常に勉強します。

今年度の目標はコーラを一日に一本まで制限することです。

松原 且季